家を出てもう13年。
なんとなく大学に行って、これといってやりたい事も見つからず
なんとなく今の会社に就職した。
毎日、ぎゅうぎゅうの満員電車に揺られ、着いたころにはもうクタクタ。
眠い目をこすりながら会社に着くと、イライラした上司から怒号が
飛んでくる。虫の居所が悪いといつもこれだ。
同僚も「我、関せず」といった感じで、見て見ぬふり。
自分が良ければそれでいいって感じ。何でいつも私ばっかり。
毎日残業しているのに全然成果も上がらないし、
りがいも見つからない。
先日、1コ下の後輩にマネージャーの座まで奪われてしまった・・・
あぁ、このままでいいのかなぁ?
私一体、何をしているんだろう。何だか疲れちゃった。
急に空しくなって久しぶりに実家に帰りたくなった。
「おかえり!」
いつもの優しい母の声と、我が家のにおいが私を迎え入れてくれた。
私は、お気に入りの場所の縁側に座りながら雲の流れを
ぼ〜っと眺めていると母がそっと寄ってきて
「はいっ。」と缶コーヒーを手渡してきた。
「どうしたの?何かあった?帰っておいでって言っても、ちっとも帰ってこないのに。」
「ううん。何にもないよ。」と無愛想に答えると
「何かあったら一人で抱え込まずに言いなさいよ。」と言い、
母は、晩御飯の支度をしに台所に戻った。
母の言葉が頭の中で反響して、それを繰り返すうちに気持ちが抑えきれなくなった。
私は、あふれる涙がこぼれないように空を見上げながら缶コーヒーを飲んだ。
次から次にあふれる涙が頬をつたい、飲んだコーヒーの味はちょっぴりしょっぱ
かったけれど、いつも一人で残業の時に飲むコーヒーとは違い温かくて優しい味がした
あぁ・・・空ってこんなに蒼かったっけ。いつも下ばかり見ていたから忘れていたなぁ。
空を見ていたら何だか私の悩みなんてちっぽけな気がしてきた。
私、もうちょっとだけ頑張ってみようかなぁ。今度は前を向いて。